こだわりの技

薄板精密板金における、設計のポイント(コストダウン)ついて

薄板精密板金加工をするにあたっては、設計段階において、いかにコストダウンを意識しながら設計を行うかが、製品自体の単価に大きく関わってきます。そこで、設計者の方々に特に意識してほしい点をあげたいと思います。

 

  • ➀ なるべく板厚を統一する

精密板金において、使用する板厚を統一することは多くの場合コストダウンに繋がります。様々な板厚の材料を使用すると、それだけ余分な材料を購入する必要がある為コストが上昇します。さらに同じ板厚にしておけば、材料費以外にも、たとえば曲げ加工にしても同じ金型ですべて済むため、段取り変えなどのロスがなくなります。溶接も同等に同じ電流で加工することができます。これは、精密板金はもちろん、薄板板金でも同様であり、板厚によっては入手性が悪いものもあるので注意が必要です。

 

  • ➁ 傷に対する表記を過度にしない

医療関係や食品関係などの精密板金加工の製品は表面に研磨を施す(バフ掛け)ことが多く、傷を嫌うことが多いのですが、図面に「傷なきこと」と記載されていると、取り扱いが非常に難しくなり、コストアップの要因になります。

外観上の問題や、どうしても傷が駄目なもの、あるいは食品関係で菌などの繁殖の恐れがあるなど、どうしても研磨が必要なケースはありますが、すべてがそうとは限りません。製品のうち、研磨が必要な範囲はどこなのか?どこまでの傷を許容するのか?どのような傷はNGなのかなどを具体的にすると、コストを抑えることができます。

 

  • ➂ 材料コストを考える

精密板金においてコストを下げる最も簡単な方法は、板厚を薄くする(必要最小限の板厚にする)、一般的に使われる材料を使うです。板厚を薄くすれば、重量が下がりステンレスやアルミなどの単価の高いものにはかなりのコストダウン効果が期待できます。また材料もステンレスならSUS304やSUS430など、アルミならA5052が最も汎用性が高く、耐食性などのを高めた材料(SUS316など)は高価になります。製品がどのように使われるのかなど、よくわかった上でよりよい材料を選ぶ必要があります。

なお、コストと同時にその素材の入手性も考慮する必要があります。入手性の悪い素材・厚みの鋼板を選択してしまうと、それがかえってコストアップの要因となってしまうからです。

 

  • ④ 格にある板・パイプを使用する

特に製缶板金などの設計においてパイプを使用する際は、一般的に使われる規格品のなかから選定し設計に反映させることがコストダウンにつながります。オリジナルの商品などを作る場合には、あえて規格のないものを使うことがありますが、市場にない寸法サイズだと特注になる為、コストは大幅に上がります。パイプを設計に織り込む際には、JIS 規格品を積極的に採用し設計することをお薦めします。

 

  • ⑤ 料サイズを意識する

精密板金において、加工対象の材料には定尺という規格のサイズがあります。定尺から製品を抜き取った後の材料ロスを少なくすることにより、製品単価を抑えることができます。また、定尺の材料を使用しても、加工後に材料が多くあまってしまう場合などは、製品に使用する材料のほか余った分の材料費まで製品価格に上乗せなければならなくなるのでコストが上昇してしまいます。

(残材を再利用できる場合もあるが、必ずしも再利用できるわけではない為)

これを抑えるため、なるべく材料取りの良い(定尺を有効に使える)製品形状を意識することが重要です。

ステンレス・精密板金.comを運営する(株)マツダでは、精密板金・薄板板金に関して、材料・曲げ・溶接までの知識と技術を有する者が多く在籍しています。ご相談頂ければ、これまでの経験を活かして最適な方法をご提案することが可能です。

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