一般的に薄板板金と呼ばれる精密板金の領域は、板厚1mm以下のものといわれています。
板厚が1mm以下になると、溶接による熱で大きくひずんでしまう為、一般的にはTIG溶接よりもYAG溶接が用いられます。このYAG溶接においても、ロボットタイプとハンディタイプがあり、用途に応じて使い分けられており、小ロット・短納期の対応では、ハンディタイプのYAG溶接機が用いられています。
薄板板金の設計を行う際には、実は、板厚以外にも鋼材の種類を確認しておく必要があります。
市場で汎用的に入手できる薄板の鋼材は、下記の通りです。
<ステンレス>
2B材 1.0mm, 0.8mm, 0.6mm, 0.5mm, 0.4mm, 0.3mm
バネ材 0.6mm, 0.5mm, 0.4mm, 0.3mm, 0.2mm, 0.1mm
2B材とは、いわゆる一般的なステンレス材料ですが、バネ材は2B材に比較して硬いため、曲げ加工を行った際にはスプリングバック(曲げてもまっすぐになろうとする)が起こるので、溶接以外にも曲げ加工においても手間がかかります。
従って、どうしても薄板の必要がある以外は、2B材の0.3mmまでで留めておくことが必要です。
(なお、2B材でも同じ定尺であれば、2mmを境に薄くなればなるほどコストが上がるので注意が必要です)